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最高裁判所第三小法廷 昭和30年(あ)4004号 判決

主文

本件上告を棄却する。

当審における訴訟費用は被告人の負担とする。

理由

弁護人小林澄男の上告趣意第二点は判例違反を主張するが、原判決において被告人が妻を殺害したのと同一機会に、殺意をもって妻の母にも加害したがその目的を遂げなかった事実を認定し、後者を尊属殺人未遂罪に問擬していることは正当であり、所論引用の判例は具体的事実関係を異にするものであって、本件に適切でないから所論は上告適法の理由とならない。また同弁護人のその他の上告趣意及び被告人の上告趣意は事実誤認、単なる訴訟法違反、量刑不当の主張に帰し、刑訴四〇五条の上告理由に当らない。

また記録を調べても刑訴四一一条を適用すべきものとは認められない。

よって同四〇八条、一八一条により裁判官全員一致の意見で主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 本村善太郎 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 垂水克己)

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